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  血義吏:表編 


血儀吏<表編>



零・染始



「ちと、物知らずだったな………」

 カカシは、目の前に追い詰めた標的に、低く警告した。

 深森の奥。

岩壁際に追い詰められたまだ少年の忍びは、目の前にまで追い詰めてきた上忍の男に、ただ絶望に似た色の瞳を向けた。

「たかが下忍相手に……まさか上忍が出てくるとは思わなかったんだろう…………?木の葉隠れの下忍、麻繰ツバメ君……」

 指先に挟んだ任務依頼書をはためかせ、カカシはくつくつと笑った。



 任務依頼書には、

 追忍任務依頼書 との文字。



「里に何の不満があったか知らないが、多少、気が短すぎたようだな」

 懐からくないを抜き出し、カカシはそれを前方に突き出した。

 最後の警告だと言わんばかりに。

「選べ」

「……」

「ここで死ぬか、里で裁判を受けるか…………」

「………」

 ツバメは唇を噛んだ。

 判っている。

 抜け忍は重罪。

 それでなくても、

 自分は里の情報を他国に漏らした、国賊。



 死はどちらにしろ、

 免れない。



 それならばいっそ、

 

 戦って死ぬか……

「………どっちも嫌だ」

 腰に差したくないを、ツバメも引き出す。

 左右に一本ずつ。それを顔の前で構えた。

「やめとけ」

 無感慨に、カカシは即答する。

「俺は歯向かう「敵」には容赦無い。骨の髄まで引きずり出し、殺せと懇願しても、願いを聞き届けてやる気は無い」

「……」

 「絶対」を突きつけられ、再びツバメは沈黙。

「お前の事は、とある所から聞き及んでいる」

「?」

 突然のカカシの言葉に、ツバメは当惑気味に目を見開いた。

 当のカカシは、任務依頼書をバタバタと翻しながら淡々と言葉を続ける。



 決定的な言葉を。



「とある中忍センセイからな……」

「!」



 ツバメの双眸に、追憶に似た色が浮かんだ。

 くないを握る手が震える。



 カカシは再び、

 警告を与えた。



「さあ、選べ」



 せめて、

 泣いて、骨を抱いて埋めてくれる人のもとへ、還れ





「……………」



 見上げれば、

 色づきはじめた紅月。



紅月



 罪人の血を求め

 天がその赤い舌をなめずるのだ

 

 闇夜さえも、どす黒く変色した血の色に観得るのは

 霧のように漂う死の香りが

 その場にいる全ての生ける者を狂わせるからなのか



 でも

 そんな中で



 薄れ掛けた時間の記憶

 その中で

 心を捉えて話さなかった、あの影



 全てが赤い その中で

 唯一無垢の白い影



 闇夜に溶ける長い黒髪の



 幼心にも分かった、その儚美さ



 美しい、女性(ひと)







壱・紅月





「ああ、また来るんですか……」

 火影邸にて、任務報告に訪れていたカカシは、まるで噂話を聞き流すかのようにしておざなりに頷いた。

 里全体が見渡せる硝子張りの窓の前で、両手を後ろで組み、火影は頷く。

 その口元には、くゆる白煙の煙管。香ばしい香草の香りが微かに漂う。銘柄を変えたか?とカカシは覆面の下で二回、軽く鼻息を吸った。

 窓の外。ほぼ沈みかけた太陽と入れ違いに、空高くに霞んで現れたのは月。

 その色が、色づき始めた紅葉の如く、紅く赤く、染み付き始めていた。





 紅月の送り祭が近づいているのだ。





「で、三代目…」

 特別報酬の内容が書かれた巻物を懐に仕舞う。後は退出するのみだが、そこにある火影の面持ちに浮かぶ色に憂いを感じ取って、カカシはすぐに踵を返す事を躊躇った。

「なんじゃ」

 振り返らず、いつもの平たい調子で応える火影。

「今回は、どれくらい…」

「七名ほど」

「…割と多いんですね」

「美袋の国とのいざこざで、しばし騒がしかったからのう……」

「成る程」

 手毬を投げ合うように言葉が行き交う。

 当り障りの無い質問の後、少し間を挟んでカカシは最後に問うた。



「『例の役目』は誰だか、決まったんですか?」



「ああ」

「…そうですか」

 思わぬ即答。次に続ける言葉を用意していなかった為、単調な返事しか出来なかった。「何年振りでしょう。紅月の充月夜なんて……」

 火影より一歩背後に歩み寄り、カカシは硝子窓の向こうに広がる空と、対峙する。

「しばらく振りじゃのう…二十年ぶり…だな」

 紅に染まりかけた月は、今はまだ桃色ともいえるなんとも初心な色合いで空に浮かんでいた。弓なりの月。それが完全に満ちるとき、おそらくあの桃色は業火にも似た深紅に染まるであろう。

 数年に一度、又は十数年に一度の、紅宵。

 時には数ヶ月に一度、現る時もあるが、今回はここ二十年ばかり振りだ。



 紅月の充月夜。

 「送り祭」と呼ばれる、ある儀が、木の葉隠れ里で行われる。

 



「送り祭……誰がつけたか知らねぇが…陰険な名前を付けやがって……」

 上忍達が憩いの場として集う、アカデミー裏の遺跡広場。

 石柱の一つに腰掛け、咥え煙草を吹かすアスマが、苦虫を噛み潰す。

 その傍にそびえる大樹の幹にもたれかかり、無言でカカシが頷いた。

「あら…じゃあアンタなら何て詩的な名前を付けるのかしら?」

 横たわる石柱に跨る紅は、先程からくないに鑢をかけていた。その手を止めず、相変わらずの低く深い声で呟く。

「けっ…」とアスマは煙草を吐き捨て、新しい一本を咥える。指先をパチリと鳴らすと、煙草の葉が発火した。

「詩的も何もあるか。まんまで良いんだよ、そのまんまで」

 放課の時間も終わり、アカデミーの建物の向こうで夕日が沈み始めていた。それと入れ違いに現れる、染まりかけた弓月。その光はまだ弱いが、いずれ穴を開けたように空に穿たれる満月は、強い赤色に里を照らすだろう。夕日も朝焼けも、霞むほどに。

 アスマの言葉に、「それも趣向的で素敵ね…」と紅は喉の奥で笑った。



 やすりを動かす手を止めて、紅は空を見上げる。

 その横顔が、逢魔ヶ刻独特の空色に照らされて、背中に悪寒が通り抜けるほど、美しかった。



「やめろよ」

 カカシが短く戒める。

「あら、珍しく気弱な事を言うのね」

「悪趣味だ」

「まあね」

 別段気にする様子もなく、紅は再びくないに視線を落としてやすりを動かし始めた。

 ざりざりと、砂がこすれあう音だけが、沈黙が流れる三人の間に脈打つ。

「カカシ、お前は、ガキどもを「祭」に連れて行く気か?」

 手にした煙草の袋を弄びながら、アスマが問う。

「当然だ」

 カカシは即答。声調に迷いも聞こえない。

「あいつらは、戦いの血をもう知っている。だけど、狂気の血を、まだ知らない」

「カッコイイ~…」

 三文芝居に拍手を送るように、紅はおざなりな拍手。

 横目で、カカシはそれを嗜める。だが至って悠悠とした態度で、紅は静かに笑んだ。

「うちの子達も連れてくるつもりよ。勿論…どこまで耐えられるか、試すために……ね」

 くないについた砂を落とし、ふっと一吹き。鋭い光を取り戻した黒い刃を、いとおしそうに指先で撫でて、懐に一本ずつ仕舞っていく。

 それに…と続く。



「それに、あんたの戦績の結晶も、桧舞台に上がる事になるのかしら……?」

「…………」



 アスマが、ちらりと視線を向けたのが、カカシにも判った。

「ほら、抜け忍のアノ子………」

「やめろっ…胸糞悪い…」

 語気を荒げるカカシに、紅は尚も喉の奥を鳴らして小さく笑う。

 鞠を転がすような、鈴を鳴らすような。

「私を狂っていると思う?」

 身を乗り出すように背を伸ばす紅。

 その姿は、しなやかな猫科の獣に似ている。



「狂ってない忍などいない」



 一呼吸の後、カカシは静かに低く呟いた。







弐・中忍



 任務報告書を提出するために、カカシはアカデミーに来ていた。

 だが、受付にいる筈の人影が、今日はなかった。



 イルカという、中忍。



 ナルトを通して互いに名と顔を認識しあう程度の知り合いだったが、

「いないのか」

 イルカが受付業務を手伝うようになってからは頻繁に顔を合わせるようになった。

 毎回の任務報告書の提出の度に、「お疲れ様です」と誠実的な労いの言葉をくれる。ここに戻ると、生きて帰った心地がした。

 だが流石に今回は、イルカがこの場にいない事がありがたかった。

 先日も中忍試験絡みで喧嘩したことに加え、今度は送り祭を見学させに行くなど、言語道断と、拳の一つでも振るってきそうだったからだ。

(どうもあの人を怒らせるのは心苦しい……)

 と報告書を適当な受付に提出する。

 ふとその隣の受付机を見れば、椅子の上に鞄が置かれ、机の上にはまだ書類が広がっていた。先程まで人がいたような気配。

(もしかしていたのか…?)

 なら鉢合わせしない内に帰るが無難だな…とカカシは、書類に目を落とす受付の男を見やった。ちょうど、最後の判が押されるところ。

 と同時に、



 ガラリ



 とすぐ背後から扉が開く音。

 判を手にした受付掛の男が「おや」と顔を上げた。

「イルカ先生、遅かったじゃないですか」

「……」

 肩越しに振り返ると、黒髪が最初に視界に入ってきた。

「………すみません……」

 沈んだ声調で、中忍教師は振り返った。

 カカシと視線がかち合う。

「どうも」

 カカシはそう一言、頷くだけの会釈。

 いつもならば、どんなおざなりの挨拶に対しても誠実に生真面目に応えるイルカ。

 だが、

「…………」

 反応を示す事なく、イルカはカカシの傍を通り抜けて行った。

 まるで生きている気配が全くしない、消沈様…とでも表現しようか。

 同僚の男が、かける言葉を選ぼうと迷ううち、イルカは椅子の上から鞄を拾うと踵を返してまた扉に向かった。そして

「すみません、早退します」

 と一言残して出て行った。

 最後に、カカシとは視線を合わせなかった。

「………?」

 判が押された報告書の写しを貰うと、カカシはイルカの後を追った。

 長い廊下の先、小さくなっていくイルカの背中がある。

 足音を立てず、気配を出さず、カカシはイルカのすぐ背後に移動した。俯いたイルカの首筋が、弱弱しく細く感じた。

「先生?」

 何気なく、肩に掌を添える。

「っ!」

 大袈裟にその肩が跳ね上がった。

 カカシの手を振り払うと、イルカは何も言わず、振り返らずに駆け出した。

「ちょっ…先生っ!」

 カカシは咄嗟に追いかけて二の腕を掴んだ。

 また振り払われる。

 また追いかける。今度は後ろから肩を掴むと、振り払われる前に引き寄せて壁にイルカの体を押し付けた。

 衝撃で、大きな音がたった。

 アカデミーへと続く接続廊下。忍びの姿に混ざって、子供の姿もある。音に愕き、子供達は足を竦めた。忍び達は、何が起こったのかと、好奇半分で視線を流す。

「どうしたんですか。らしくもない…」

 腕を突き出すカカシと壁の間で、イルカはあくまでも顔をカカシに向けようとせず、俯く。カカシの左手が押さえ込むイルカの肩が、小刻みに震えていた。

「イ……」

「構わないで下さい」

「……」

 呼びかけた名前を阻止される。

 それを引き金に、イルカの中に溜まっていた言葉が吐き出された。

「俺に一切構わないで下さい。声をかけないで下さい。姿を現さないで下さい!」

 わななくような悲痛な声は、次第に怒声に変わる。

 意味が飲み込めず、カカシはイルカの顔を覗き込む。だが、それをも避けて、イルカはがくりと膝を折る。そのまま、壁に背中を預けたまま床に沈んだ。

「イル…」

「俺の名前を呼ばないで下さいっ!」

 両手で両耳を塞ぎ、膝に顔を沈めてイルカは叫んだ。

 最早懇願を越えた、苦痛の叫びだった。

「………」

 足元に座り込んでしまったイルカを見下ろす形で、カカシは半ば呆然とその震える手と首と肩を見つめていた。覆面の下で、諦めの溜息をつく。

 一歩イルカから下がると、カカシは長い廊下を歩き出した。

 残されたイルカが動く気配は無い。

 廊下を行き過ぎる人間の視線が感じられた。

 それを全て無視して、ひたすらカカシは廊下を突き進んだ。







参・木霊



 早朝から、里中に響き渡る木霊。



 コオォォ……ン

 コオォォ……ン



 木槌で何かを打ち付ける音だ。

 幾度も幾度も、続く。



「何かしらね…アレ」

「あっちの山のてっぺんから聞こえるってばよ」

 早朝。

 任務の為に集合場所に集まっていた七班の三人。

 脈動のように規則正しく打つその音に、首をかしげる。

 当然のように遅刻している上忍を待ちながら。



「やあ諸君、おはよう」

「おっそーーーーい!!」

 

 一連のやり取りの後、カカシを始めとする第七班は任務に出立。

 今日は、山への薬草摘みだ。



 コオォォ……ン



「…ねえ、カカシ先生。あの音……」

 山に到着してからも尚も鳴りつづける音に、流石に不気味さを感じてサクラはカカシに答えを求めた。

「ん?」



 コオォォ……ン



「ああ、あれね」

 規則的に、深く長く響くその音は、寂寥感と荒涼感に満ちている。

 物悲しく、そして恐ろしくもあった。

「そんな事より任務だ任務。ホレ」

 カカシは素気無く答えると、空の袋を三人に手渡した。

 これを一杯にするまでは帰れない。

 三人の顔色が変わった。

 われ先にと山の中に入ると、叢を掻き分けて薬草を探しはじめた。

「結構結構」

 そして一人、満足げな笑みを浮かべ、カカシは腰の巾着から愛読書を取り出すのだ。





 コオォォ……ン



 コオォォ……ン



「まだ鳴ってる………」



 半分ほど一杯になった袋に辟易した溜息を漏らした後、サクラは空を見上げた。

 今朝方から、しきりに空をゆるがす木槌の音。

 山中にいる第七班にも、その音は届いていた。

 薬草摘みも、手が止まったり動いたり。

「ほーら、ちゃっちゃと摘むー」

 と相変わらず木の上で読書に耽る銀髪の上忍の声が、おざなりに飛ぶ。

 黙々と薬草を千切っては摘んでいたサスケは、他に薬草はないかと、草を掻き分けながら奥へ進む。

 その足が、止まった。

「あれ……何だ?」

「?」

 指差す先は、向かいにそびえる小高い丘。

「何だろう」

 サクラとナルトも、サスケが入り行った叢の向こうに駆け寄る。

 深くなるかと思った木々はそこで途切れ、向かいの山々が見渡せる明野となっていた。

「?」

 見ると、足元に広がる丘の頂上に、人が大勢集まっていた。

 手に手に材木を担いだとび職の男達らしき人影が、大勢列を成している。

 カカシほどの背丈もありそうな杭を、巨大木槌で打ちつけていく音が複数、木霊にのって響いてくる。



 コオォォ……ン



 これが、音の正体。

「何を作っているのかしら…」

 杭と材木で次々と、丘の頂上を柵が出来上がっていく。徐々に輪を成すその様子を、上からサクラ達が覗き込んでいる。



(ちっ…)



 その様子に、カカシは舌打ちした。

(『紅月の丘』だ………)

 打ち付けられていく杭が数を増やしていく。

 刑場と物見を隔てる柵が建てられていく。

 そして、

 なにやら穴も掘られ……。

 再び舌打ちをして、カカシは木から降り立った。

「ほれほれ、ちゃっちゃと終わらせろー」

 背後から、本の背表紙で三人の頭をどつく。

「何よー先生も手伝えばいいじゃない」とわめくサクラを押しやる。

「何なに、あれ何だってば」とうるさいナルトを小突く。

「……」と不満そうなサスケに一睨み。



 そして、低く一言。

「祭りの準備だ」



「祭り?お祭り?何の?」

 祭り、という歓楽的な言葉にナルトが目を輝かす。

 一方ではサクラは訝しげに眉を潜める。

「こんな時期に祭りなんてあった?………」

「何の祭りなわけ?」と足元に広がる光景に訝しげな視線を送って観察していた。

 背後でまた、木槌の音が響いた。





 朝陽が上ろうと、

 空は赤い。

 最早朝焼けをも飲み込み、紅一色に里が染まる。





 紅月の宵がせまる…







「何か、気のせいかカカシ先生も変だったような……」

 薬草を探して山中を駆け回り、最早家路につく体力しか残されていない三人は、紅い月が照る下に並んで歩いていた。

真中にサクラ。そしてすぐ隣にナルト。少し離れてサスケ。

「そんな事どうだって良いってばよ~…腹減った~~…」

 情けなく裏返った声でナルトが背を丸めてよたよたと歩く。一方で、さすがのサスケも、目に力が無く、どことなく明後日を向いているように疲れた面持ち。

「はーー」と溜息と共に、サクラは空を見上げた。

紅い。

それは、日々、時間と共に濃さを増していた。

「ねえ、この紅い空……なんでだか知ってる?二人とも」

「?」

 指を天に差すサクラにならって、ナルトを空を仰ぐ。

 遅れて、サスケも。

「本で読んだ事あるの。空が赤いのは、天が血を欲しているから。昔は、人身御供を授ける儀式なんかもあって、それはこういう空の色の時に行われていたのよ」

「ふーん…」

 感心したようにナルトが相槌を打つ。

 そのすぐ後に、サスケが短く問う。

「今は?」

「うーん……さすがに人身御供の儀式なんて聞いたことないけど……でも、何かが起こるんじゃないかって思うのよ。カカシ先生が祭りがあるって言ってたけど…空の色も、日に日に濃くなるし…このまま行ったら、その人身御供の儀式が行われていた『紅月の充月』の日がやって来ちゃうから………紅月は、『狂宵』なんて風にも言われているのよ……」

「げー。もしかしてまだあるんじゃねーってばよ。イケニエとかさー」

 わざとらしく両手で自分の体を抱くと、ナルトはブルブルと震えた。

「祭りってその事なんじゃねーの?」

「まさか」

 と応えるものの、サクラはもう一度空を見上げた。この色を見ていると、それも満更、非現実的とは言えなくも無いのでは…と思案がよぎる。

 あの紅の空は、

 本当に血の色に似ている。



 すれ違う人々。

 アカデミーの仲間。

 街の人々。



 全ての人々の瞳に、

 この紅が映っているのだ……。







四・拒絶



「紅い月かぁ……」



 サスケとサクラと別れ、長い田んぼのあぜ道を一人で歩くナルトの影。

 それも、紅い月に照らされて紅く長く伸びていた。



 天が血を欲している……



 狂宵



「…………」

 右の稲穂の海からは、五月蝿いほどに蟲と蛙が狂い鳴き。

「イルカせんせー……」

 無性に寂しさを覚えて、ナルトは丁字路を九十度に曲がった。

 ここを曲がれば、イルカ宅。

 疲れで体は重いが、逸る気持ちに足が急く。長いあぜ道を通り抜け、通いなれた扉の前に立つ。

 三回叩く。

 返事は無い。

 また三回叩く。

 気配も無い。

「………」

 そして、また…

 と手を上げたところで、

「!先生…?」

 気配を感じた。

 路の向こう。切れた街頭の向こうから、こちらに歩いてくる気配があった。

 暗闇から徐々に現れたのは、ナルトの探し人。

 足元に視線を落として俯いたまま、力なく歩いてくる人影。

 後頭部で結われた黒髪が、薄暗闇でもそれとわかった。

「イルカせんせー。お帰りってば!今日さ、泊めてくんない?」

 大きく両手を振って、イルカを迎える。

 だが、

「…イルカ先生?」

 反応が無い。

 人形のように無機質に、イルカは駆け寄ってきたナルトの脇を通り過ぎると、自宅の扉に手をかけた。機械的に鍵を取り出し、鍵穴に差込む。まるで隣に誰もいないかのように、ナルトに気付く気配を全く見せず。

 街頭が壊れたイルカの自宅前。月明かりの下に照るイルカの横顔。その紅い色が、イルカの瞳を空ろに見せていた。



 紅月は、狂気の色……



「な…何だよ…」

 唇を噛んで、ナルトはイルカに駆け寄る。そして扉を開けようとしたイルカの手首を掴んだ。

「イルカ先生ってばっ!」

「っは……!」

 イルカの体が一度、大きく震えた。

 まるで今、夢から覚めたように大きく目を見開き、イルカは弾かれるようにナルトを振り返った。その口から、名前が零れる。

「な、ナルト………」

 いつからそこに?とでも問い出しそうな顔。

 力なく、イルカの足がふらついた。扉に背を預け、イルカは片手を額に当ててナルトから顔を背ける。

「大丈夫?イルカせん……」

「悪い…ナルト……帰ってくれ…………」

 名を呼ぶナルトを遮り、イルカは搾り出すように吐き出した。

「な、何で…どうしたんだってば…変だよ……先生…………」

「頼む……」

 そっけなく、イルカはナルトの手を振り払う。

 絶望に墜ちた色が、ナルトの双眸を走った。

 口元が戦慄く。

 イルカは片手で顔を隠して背けたまま、一向にナルトを見ようとしない。

 その姿に、ナルトは疼くような痛みを覚えた。

 消えていきそうな…その人。

 紅い夜風が通り過ぎ、無言が漂う。



 それを打ち破ったのは、

「子供にまでそれは無いんじゃないですか?」

 という空から降ってきた言葉。

「?」

 イルカより先に、ナルトが見上げる。

 向かいの軒上に立つ、新たな人影。

 その声はいつも聞き知っていた。

「カカシ先生?」

 ナルトの声に、ようやくイルカも緩慢な動きで顔を上げた。

 そして、またすぐに俯く。

 軒上から音も無く飛び降りると、カカシはナルトの頭に手を置いた。その手で、髪をくしゃくしゃとかき回す。

「ナルト。今日は帰れ」

「でも…」

 と言いかけて、ナルトは口をつぐむ。俯いたままのイルカを一度みやり、そしてカカシを見上げる。無言で頷くカカシ。

「……わかったってば……」

 じゃ、と踵を返し、ナルトの姿が田園のあぜ道へと続く細道へと消えていった。

 その背は、一度も振り返ることが無く。

 それを最後まで見送り、カカシは改めてイルカを振り返る。

 イルカは、扉に背をつけたまま俯いている。

 口を開けかけたカカシを遮り、

 意外にも今度はイルカが最初に沈黙を破った。

「何故ここに……」

 その声は、アカデミーで声を張り上げてばかりのイルカからは想像のつき難いほどに弱い。

「言ったはずです。構うなと……」

「無理な話ですね」

「っつ…」

 肩を掴み、無理やりに正面を向かせる。

 それでも顔を背けるイルカの首を掴んだ。力の加減が行かず、軽くイルカが咳き込む。

「そんな急激に態度を変えられて、挙句、『構うな』なんて…納得がいくと思いますか。俺はともかく、ナルトまで……。ナルトはアナタの生徒では無い、という俺の言葉の所為ですか?」

 語気が少々荒い。

「くっ…」

 強く口を噛み締め、イルカがカカシの眼をにらみ返す。そしてカカシより更に荒い声調で怒鳴り返してきた。

「違います!俺には時間が無いんですっ!!」

 その目は、涙だろうか、紅い月光のしたで潤んでいるように見える。

 首を掴むカカシの手を掴み返し、そして力任せに振り払う。

 結構な力だ。

「何が……」

 とカカシが問い返す言葉を区切る。

 いつの間にか、首筋にくないがあてがわれていた。

「………」

 くないの柄を握るイルカの手が、震える。

 すぐ近くにあるカカシの視線から逃れて、またイルカは俯く。

 消えゆきそうな、懇願が漏れた。



「お願いです………あの紅月が消えるまで…………」

「?」



 見上げると、紅月。





「それまで俺の名を………呼ばないで下さい……」





 それ以上、カカシに何が問えようか。





 ゴオオォォォンン………





「!」

「鐘…」

 無言の空気の中に、突如鳴り響いた鐘の音。

 カカシは空を見上げた。

 低く、這うような鐘の轟き。

(この鐘は………)

 カカシは括目。



 鐘は、ニ度鳴った。



 ちょうど、日付が変わるとき。

紅月まで、あと二日。





「っ…」

 鐘の音に耐えられず、イルカは体を翻すようにして扉の向こうに駆け込んでいった。

「あ…」と止める間もない。

 バタバタと玄関から部屋の奥へ駆け上がる音が遠ざかった。

「……………まさか先生……」

 口元に手をあて、カカシは呟く。

 もう誰もいない扉の前で、扉の向こうに消えていった人物を思案し…。



「………」



 空を見上げる。



 紅月の充月が、迫っていた。

 月の色はいよいよ血の赤に等しく濃い。

 夕暮れさえも月明かりに飲まれ、昼過ぎから空は紅かった。







伍・前祭



 送り祭

  日時:明晩 七ツ刻

  場所:紅月の丘



 集合場所だと指示された街の中心広場に行ってみれば、昨日には無かった巨大な看板が建てられていた。

 七班の三人は、並んで書かれた文字を見上げた。

「ほら、やっぱりお祭りだってばよ」

 とナルト。

 樫の木で作られた、もう古くささくれで傷んだ看板だ。

 所々黒ずんでいる。

 その看板に直接、筆でそう書かれていたのである。

「……送り祭……?知らないわ……」

 小首を傾げるサクラ。その斜め横で、サクラの微妙な面持ちに気付いたサスケが様子を伺っている。

「おお、送り祭か……十何年ぶりになるか?」

「!」

 背後から聞こえてきた会話。

 通りすがった町人の男達だった。

 初老近い二人組みは、会話に追憶の靄をたゆたせる。

「丁度…二十年ってところじゃないか?」

「もうそんなか……」



(二十年ぶりのお祭り……?)

 いよいよ訝しげに思ったサクラは、振り返らずにただ背後の会話に耳を欹る。

「今回の『お役目』は誰だろうな」

「二十年前の『お役目』は…清らかく、美しい、くの一だったっけ」

「そうそう!」と急に声を明るく上げて、男達は笑い出した。

(……『お役目』……?)

「っ…」

 サクラが振り返ると、男達はすでに看板の前から離れ、町並みの向こうに紛れて消えていくところだった。

「…………」



ゴオオォォォンン………



 鐘の音。

 日々、回数を重ねていく鐘。昼夜を問わずに鳴り響く。空を突き抜け、里中に響き渡る。

「まただわ…気持ち悪い鐘………」

 眉を顰めてサクラは空を仰ぐ。

 日に日に紅の濃さを強めていく空。

「…サクラちゃん?」

 すぐ隣から、ナルトの案ずる声。

 そのすぐ後に、



「やあ諸君、おはよう」

「遅い………」

 

 カカシが現れた。

 最早慣例となったカカシとの朝(殆ど昼)の挨拶。



「で?今日は何?」

 拗ねた素振りでふてぶてしく、サクラが問う。

 それにはすぐに答えず、カカシは目の前に立つ看板をしげしげと眺める。

 そして感心したように

「やたらでかい看板だなぁ……」

 と呟いた。

 同じように振り返って看板を見上げ、何気なくついたサクラの言葉。

「二十年ぶりのお祭りだから…じゃないの?」

「……」

 それが僅かにカカシの表情を動かした。

 サスケには、一瞬そう見えた。

 知ってか知らぬか、そうそう、とカカシは思い出したように顔を上げると、

「これ、観に行くからな」

 と看板を指差した。

「へ?」

「明日、六ツ刻。この看板の前で待ち合わせだ」

「……!」

 明日といえば、日曜。

 週末出勤を強いられれば真っ先に愚図を言い出すナルトだが、それは出なかった。

 まだ明るいはずの日中。重いほどの沈黙が、まるで闇夜を運んでくるように冷たかった。

「遅刻するなよ」

 最後にそういい残すと、カカシは「以上。解散」と言い残し、踵を返して歩き去っていった。

 全てが唐突な現状に、ナルトもサスケも、「何なんだ」と眉間に皺をよせている。

「……先生こそ……」

 小さくサクラの声が届いた。

 精一杯の強がりなのだろう。



 だがその声も届いたか、

 カカシの背中は人ごみに紛れて消えてしまっていた。

 

「何なのかしら、一体…祭りの内容くらい説明があったっていいじゃないの…」

 カカシが消えていった方を見据えて、サクラは溜息。

 そういえば、街の様子も今日は活気付いているように思う。

 活気……というより、沸き立つ…ような空気だ。

「……二十年ぶり……かぁ…そっか!」

 名案が閃いたとばかりに、サクラはサスケを振り返った。

「イルカ先生に聞いてみようか。多分知ってるよね」

 

 イルカ先生に



 サクラの口からでたその名前に、ナルトは目元に影を落とした。

 先日、イルカ宅で起こった事が蘇る。

 イルカに、無視された瞬間。

 手を振り払われた瞬間を。

 結局あの後を任せたカカシからは、何の言伝もない。話を聞かせてもくれない。

「イルカ先生…は多分、忙しいんじゃないかなぁ~…」

「何言ってんの。アカデミーに行けば会えるじゃない」

「最近学校にも来てないし、家に行っても会えないんだってばよ…」

「ふーん…」

 苦笑いで下手に汗をかきながら言い逃れをするナルト。

 サクラにも当然見え透いていたが、あえてそれを言及しなかった。



 ゴオオオォォォォ……ン……



 また、鐘が鳴った。





六・祭り



 今宵、



 紅月の充月。





 六ツ刻。



 人のうねり

 人の波

 人のたかり



 この静かな里の中で、一体どこからこれだけの人間が集まったのであろうか。

 箱ごと中身をひっくり返したかのようにごった返す中心街。



 その、看板の前で。

 そこにはサクラの予想に反して、誰よりも先に待っていたカカシの姿があった。

「……珍しい…」

 目を丸めて、サクラが呟く。

 次に到着したサスケも、「……あれ」と小さく言葉を漏らす。

 そして、最後にやってきたナルトも同じく。

「よし、揃ったな」

 三人が到着すると、カカシは腕に抱えていたものを三人の前に広げた。

 それは、黒い外套。

「?」

 三人に一枚ずつ投げ渡す。

「何コレ…マント?」

 サクラがそれを広げてみると、蝙蝠の羽のごとく黒い。

「それを羽織れ」

 カカシは無造作に外套を背中に羽織る。

 全身が、黒ずくめに闇に紛れる。

「えー?」

 桃色と赤が鮮やかな装束を身につけているサクラが、真っ先に唇を尖らせる。

 ナルトは止め紐を止めてくるくるとその場を飛び跳ねる。外套が翻るのを楽しんでいるのだ。サスケは、黙って言われたとおりに外套を装着。それに倣い、サクラも渋々従う。

「行くぞ」

 外套を着けるや否や、カカシは歩き出した。

 その後を、てるてる坊主の三人がついて行く。

「ねえ、こんなの着てさぁ、先生、何のお祭りなわけ?」

 サクラの言葉に、カカシは始終無言。

「……」

 歩を進めるごとに、サクラは眉を顰める。

 カカシが歩いていく先に、同じく黒い街頭を羽織った人影の集群が見えてきたからだ。

「……な…何?」

 集群の向こうに、ちらちらと光るものが見えた。

 鬼火。

 いや、松明の行列。

 道沿いに、まるで道しるべのように長く続く松明。

 その松明に寄って、黒い人影たちも道沿いに列をなしている。

「……?」

 その松明の火をたどっていくと、行き着く先は、小高い丘。

 昨日、山から見下ろした丘だ。

 見ると、今は柵が立てられていた。幾つ物松明の灯りが点り、紅い月光の下でその丘は、幻想的に浮かび上がっていた。

「来たぞ!」

「出てきた」

 どよめきが上がり、サクラが振り返る。

 ナルトとサスケも、カカシの隣に並んでざわめきの出所を探る。

 人と松明で埋め尽くされた沿道。

 その道の真中を、一つの行列が緩慢な速度で進んでくるのが見えた。

「何何何、何が来たんだってば」

 飛び跳ねて懸命にその様子を観ようとするナルト。

 サクラは手近に植樹を見つけると、飛び上る。ナルトもそれに続いた。

「邪魔よアンタ」

「いいじゃんってばよー」

 と枝の上で押し合いへし合う二人。その一本上の枝には、いつの間にかサスケの姿があった。

「おい、見ろ」

 と指をさす。

「え?」

 行列が、ちょうど三人の下を通っていく。

「…何……?アレ…」

 サクラの声が震えた。

 ナルトの首根っこを掴んだまま、動きが止まった。

 

 行列。

 黒装束に、白い頭巾を被せられた人々が、鎖に繋がれて歩いていく。

 打ちひしがれ、首を垂らした人々。

 一人、二人…七人。



 一目で分かった。



 囚人行列。



「……囚人……」



 サクラの呟き。

 それを遮るように、足元からカカシの声がした。

「おい、行くぞ」

 丘の上を指差し、カカシが手招きする。

「え…?」

 悪寒。

 木の上から改めて、足元の光景を眺める。

 黒い外套の人影たちのうねり。興奮のどよめき。



 何を

 何を皆は興奮しているのだろう

 この人たちは一体……?



 割鐘を叩いたような音が、脳内に響き渡る。



「ねえ、これ一体……あの人たちって…」

 枝から飛び降り、カカシの外套を掴む。

「囚人でしょ?あの人たち……どこに行くの?ねえ、これ、何?お祭りって……」

 後ろから、ナルトとサスケもついて来る。

 サクラの言葉は、残り二人の問いを代弁していた。

「……」

 カカシは丘の上を一度指差すと、短く応えた。

「いいから、ついて来い」



 松明に導かれ、人波を掻き分け、四人は丘を目指した。

 途中、同じく黒い外套に身を包んだ紅に出会う。

「あら、奇遇」

「よう」

 その紅の背後で、怯えてあたりを見渡して落ち着かない様子の子供達。

「さっき、アスマ達が上の方に行ったわ」

「そうか」

 どちらが誘うともなく、二組の下忍班は丘を目指して歩き始めた。

 囚人達の動きに合わせて、人波も移動していく。

 

 丘の入り口で、目立つ大きな体格が見えた。

「おう、来たか」

 さすがに煙草は控えている。口元が寂しそうだ。

「先生…」

 とサクラに即されて、カカシは「おう」と振り返る。

 サスケの外套の端を握り締め、サクラが四方八方を見渡して落ち着かない。

 流石のナルトも、飛び跳ねる様子もなく肩をすくめている。

 いくつもの杭が四方を囲み、そしてその場を二つに区切るように横切る柵杭。

 四角に区切られたそこには、一つ、穴が掘られていた。

「………何よ…これじゃまるで……」

 その先の言葉を口にするのが、恐ろしい。

 サクラは唾を飲む。



「来たっ!」

 また大きなざわめき。

 丘の入り口から、七に並んだ人影たちが、現れた。

 じゃらりと重い鎖を引きずる音を伴って。

「はい、ちょっとごめんよ」

「っ…」

 背中を押されてサクラは前方につんのめる。

 同じく黒い外套の男が、大きな看板を建てていた。

「大丈夫?」とナルトが手を伸ばす。それを素直に握り、立ち上がる。膝の泥を掃う前に、目の前に立つ看板の文字が目に入って来た。



 受刑者名一覧 七名



「受……」



 几帳面に並ぶ七の名前。

 いずれもサクラにとっては知らぬ名ばかりだが、それが何を意味するのかは理解出来た。



 サクラの背後から、カカシも同じく看板の文字を見つめる。

 

(キガラ……)

 見知った名を見つける。



 その昔、抜け忍として里から闘争した忍び。

 追い忍は、カカシだった。生け捕りにせよとの任務。里は尋問の必要性があったからだ。

(あれから…ずっと獄中にいたのか………)

 覆面の下でカカシは下唇を噛むが、感慨らしきものはこみ上げてはこなかった。

「……」

 入ってくる行列を振り返る。

 顔半分を白布覆面で隠されていたが、その顔はすぐに判った。

 痩せた横顔がある。

 紅い月光の下、虚ろに落ち窪んだ瞳が、すでに生を放棄しているかに見える。

「……キガラ……」

 一度は、共に任務を請け負った事もある盟友。



「ねえ、ちょっとっ……先生!」

「!」

 サクラの声に、カカシは我に返る。

 囚人の行列を指差し、紅い月光の下でも青い顔だと判るサクラ。

「何だ?」

 サクラの指先を追う。

 行列の中に、頭一つは小さい人物の影が。

「あ、あれ…まだ子供…………?」

 ナルトらよりは年上であろうが、体格、身長から見て青年に手が届きかけた少年…という印象がある。小柄なために、白布の覆面が顔全体を隠してしまっている。

 重い鎖の足枷が苦痛そうだ。

 ついぞ最近、まだ若い忍びが抜け忍となり戦任務先から逃亡したという事件があった。

 まだアカデミーを卒業して間もない、将来を嘱望されていた優秀な忍びであったと聞いた。



 それを捕らえた追い忍が、

 カカシであった。



 裁判が行われたとは聞いたが、

 やはり結果は同じ事……。



(見せしめ………か)



「ねえ、カカシ先生……これってやっぱり………」



 奥歯がかみ合わずに震えるサクラの声。

 両膝がいまにも崩れ折れそうに震えているのが判った。

 懸命に、声を絞り出そうとしている。



 これってやっぱり……公開処刑?



 語尾が消える。



 カカシは黙って、頷いた。



「っ!」

 驚愕にナルトが大口を開けて目を見開く。

 さすがにサスケも、眉間に深い皺を寄せて目を細めた。

「な、何でこんな…私たちまでこんな所で……っだって、お祭りって行ったじゃ……」

 柵杭の中に次々と連行されて行く囚人達から目を逸らし、サクラはカカシにすがる。



送り祭



「送り…祭……」



 すなわち

 野辺送り



「紅月の充月は、天が血を欲しているから…。お前なら知っていただろう?」

 低く、静かに、だが優しく、カカシが応える。

「あれは、本で読んだ御伽噺同然の…っ」

 目の端に涙をためて、サクラはカカシの外套を力の限りに握り締めた。

 背後では、人のうねりが熱となって空気を濁しているのが伝わる。

 柵杭の門が閉められ、いよいよ囚人のうちの一人が、まず跪かれる。

 厳格な男の声が、罪人たちの名と罪状を読み上げる。

「…………っ」

 何故に声が群集から上がるのか、サクラには理解が出来なかった。

「こんなの……」

「よく見ておけ」

「…………」

 紅月が、よりいっそうの濃さを増す。

 朧月のような光が、いっそうの強さを増す。



 刻は満ち足れり



 サクラから視線を逸らして刑場に向けて、カカシは静かに、凛と応える。

「あそこにあるのは、戦で敗れた者、裏切り者の行く末だ」

「……………」

「ああなりたくなければ、皮肉だろうが、死に物狂いで戦う事だ」

「…………先生…」



 七人目の名と、罪状が読み上げられた。



 これから、介錯人により、刑が執行されるのだ。





七・介錯人



「介錯人だ……」

 声があがる。

「……もうやだよ………」

 既に顔中を涙でぬらしたサクラが、重い頭をようやく刑場に向けた。



 見ると、柵杭の向こうから、白装束を身に纏った介錯人が現れた。

 脇に鞘に収められた長刀を抱き、そして右手には差紙を握っていた。

 居並ぶ役人らの前で深く一礼し、そして刑場に入る前に一礼。

 一歩一歩、ゆるりとした足取りで、罪人達の前に姿を現わす。



 白袴に白タスキ、そして白鉢巻。

だが、それと相反する黒髪が、紅月の光の下でも、鮮やかだった。



 噂に上っていた介錯人の登場に、

 場が沸く。



「…………っあ!」

 ナルトが声を上げた。



「っな……」

 

 覆面の下で、カカシは逆流する息を飲み込んだ。



「うそ…」

「………」

 遅れて、サクラ。サスケ。







 白に包まれた、イルカがそこにいた。







 黒髪を後頭部の高い位置で結わえ、その結い紐も今日は白い神紙。

 今までに見せた事も無い無機質な表情と白鉢巻が、冷たく、厳しく、凛々しい。



 少しやつれたか、

 紅い月光に照らされて横顔は、それでも白いと感じられた。



 何の感慨も現さない瞳で、黒髪と鼻の傷が特徴の介錯人は、立台の上に差紙を置き、刀の柄に手をかける。



 すらりとそれを引き抜いた。



 また、ざわめき立つ声が重なる。



 白銀の刃が、鋭い光を放つ。

 刃が天を向くように刀を握り、イルカは差紙を手にした。

 まず、それで一度刃を拭う。

 そして、その刃を下に向けた。

 すぐ足元に跪いていた介助人が、桶から柄杓で掬った水を、刀にかける。



 ぴたぴた…

 という音と共に水が地に落ち、吸い込まれていく。



 その一つ一つの動作が、まるで舞いの手動作一つ一つを見ているようで美しい。

 カカシは、無意識によぎったそんな思いに当惑する。



(似ている…………二十年前と……)







 送り祭。

 いわく、公開処刑



 これは見せしめの儀。

 抜け忍、国賊、重罪人、敵国の者など。

 長い間拘留していた里に仇なす者を、紅月の丘で一斉に処刑するのだ。



忍びの里では慣例だ。

 その儀には、

 上忍、中忍、そして下忍にも、罪人達の末路を見届ける権利がある。



 裏切りは許さない。



 忍びとして、

 里に絶対の忠誠を暗黙に誓わせるのだ。



 二十年前。

 まだ幼い、とはいえ既に中忍として名を馳せていたカカシにも、

 その公開処刑を目の当たりにした記憶があった。



 なんてことは無い。

 血は戦でも任務でも、見慣れたものだった。

 命乞いの慟哭も、狂い死にの呻声も。

 そこにあるのは、血と死と狂気。



 ただ違うのは、



 美。



 無垢の純白に身を包んだ、美しい影が、そこにはあった。

 白刃を閃かせ、

 地を這うような狂声を上げる罪人を、その一閃のうちに天に帰さす、



 美しい介錯人。

 火影の占術により選ばれし、その充月の宵にもっとも天に近いとされる聖星を持つ者。

 定かではない、二十年前の記憶。

 長い黒髪が印象的な、凛とした美しさを持つまだ若い女性だった。



 不思議な熱が、胸の内にこみ上げたのを覚えている。

 

 あの美しさは、

 死に行く者へのせめてもの手向け。







 美しい黒髪の介錯人。

 あれは細身の若いくの一であったが、

 何故かその記憶の影とイルカが、重なる。



 呆けていた自分に気付き、カカシは我に帰るために首を一度振った。

「………」



 二人の介助人が、一人目の罪人を背後から押さえつけていた。四角に彫られた穴。その上に、首を差し出す。



 それを上から見下ろすイルカの瞳は、



 無。







「………う、嘘…イルカ先生……」



「イルカ先生が人を殺すなんて…………」



 サクラのしゃくりあげる声。

 ナルトはすでに、出す言葉もなくイルカの一挙一動を食い入るように…というより半ば放心しているように目を見開いて見つめていた。

 サスケは、額と両頬に大量の汗。





 一人目。

 罪状、戦任務における木の葉軍情報の漏洩と渡売。

 

 つまりは、国賊。





 イルカが、刃を両手に持ち替えた。



 ざわめきが消える。



 白刃が空高く上がる。

 

 もう、何も聞こえない。





 嘘だ

 嘘だ

 嘘だ





「カカシ先生っ……!!……やめさせてよぉっ………イルカ先生が…」

「静かに見るんだ」









 あの紅月が沈むまで





 俺の名を呼ばないで下さい







 脳裏に何度も響く、イルカの声。









八・二人目





「次」



 事務的な声に導かれ、二人目が引きずり上げられた。

 腰が抜けたのか、足腰がまったく立たない囚人を、両脇から介助人が支えてやってきた。



「っ…」

 次にサクラが我に返ると、目に飛び込んできたのはその光景だった。

 すでに、



 一人目の首は首桶に仕舞われていた。



「イルカ先生……」



 白装束の襟元に、僅かに返り血を浴びていたイルカがそこにいた。

 変わらぬ無機質な瞳で、刃についた血を介助人による掛け水で洗い流している。

 水を払い落とし、そして差紙で拭う。

 

 腕を握ってくる感触に傍らを見ると、

「ナルト……」

 ナルトがサクラの袖にしがみ付いていた。

 体の平衡感覚を支えきれないようだ。みれば、足元も震えている。

 だが、

 その目はまっすぐに、刑場にあるイルカに向けられていた。

 瞑りたい目を必死に開け、汗に震えている。

「…………一振りだったってばよ………」

「え?」

 搾り出された声に、サクラが耳を傾ける。

「血も全然出なくて…音もなく……落ちたってば…」

「………」

 「何が」とは問えず、サクラは目だけでイルカをみやる。



 何事も無かったかのように。



 それが、もっとも表現に相応しい言葉だろう。

 イルカは片手に刀を握ったままの姿勢で、次の罪人がやってくるのを待っていた。

 その瞳は、じっと覆面に半分隠れた罪人に向けられている。

「ひっ…」

 突き刺さる眼光に我に返ったか、罪人の男が肩を一度大きく揺らした。

 それを引き金に、突如狂ったように叫びだし、その場から逃れようと暴れ出した。

「………」

 姿勢を変えず、イルカはただ、直立不動。

 男は、理解不能の叫びを上げながらも、二人の介助人に引きずられて突き出される。



「……っ!」

 その叫びに耐えられず、サクラは外套の裾で顔を隠し、両耳を手で塞ぐ。カカシは戒めようとはしない。

 男の嬌声と比例して、周囲の沸声も上がる。



 ここは何処なのだろう。



 サクラは自問する。

 ここは、木の葉の隠れ里ではなかったのか。

 いつも平和で



 お人よしのアカデミーの人たち。

 カカシ先生。

 ナルト

 サスケ

 家族

 友達………



 何故ここにいる人々は、人の死に己が血を騒がすのか。



 あの黒髪の介錯人は、なぜ無表情で人の首を落とすのか。



「あんな人知らない……っ……!!」

 あれはイルカ先生じゃないんだ

 そう、サクラは何度も繰り返し呟く。



 ワッ……!



 大きく沸く声。

「!」

 カカシが見守る中、

 大柄なその罪人の男が、介助人を振り切ったのだ。

 無我夢中、とにかくその場から逃れたくて、男は闇雲に走り出した。

 その広い背中のど真ん中、

 介助人の一人が投げたくないが深深と突き刺さる。

「がっ…!」

 短い男の断末魔を待たず、イルカの足が動いた。



 白刃が閃く。



(速っ…)



 次の瞬間には、

 くないを背に突き刺した男の体から、首が刎ねていた。



 首が

 穴ではなく、役人達の足元に転がる。



(速いな…おそらく奴は、痛みなど感じなかっただろうに)

 突然の事に動揺を見せる役員席の面々。

 イルカは刀を手にしたまま、転がる首の元に歩み寄る。

 そして役員席に軽く一礼すると、

 首を拾い上げる。

 慌てて首桶を運んでくる介助人。

 差し出された桶に、

 「何事も無かった」かのように、首を入れた。



 居合の見本を見ていたかのような、一連の動き。

 

 最初に踏み出した一歩から、刀の一振りまで、まったくの無駄がなかった。



「………」



 美しい、とさえ思った自分がいる。



 白い鉢巻が、紅月光の下で翻る瞬間。

 差し込んだ月光に反射した、黒曜石の瞳。

「無」の面に覆われたイルカの面持ちも、能楽的な美が、そこにあった気がした。





「…………」

 傍らを見れば、

 見たくないものを見てしまった…というように目を見開いて震えるサクラがいた。

(刺激が強すぎたか……?)



「せ…先生……」

「……」

 下から、サクラの振るえる声。

「どうしよう…あたし……」

 右手にしがみ付いていたナルトは、いつの間にかその場にへたり込んでおり、サスケは固まったまま立ち尽くしている。

「あたし……さっき、一瞬……」



 綺麗だと、

 思った………

 思ってしまった







九・少年





「………」

 カカシはサクラからナルトに視線を移す。

 まるで月光と血塗られた光景にあてられたように、熱に浮かされた目つきで呆然とするナルトの横顔。

白い頬をしたサスケも、おそらく心境は似ているだろう。



 だが、そんな惚呆に似た面持ちも、次の瞬間には崩れた。



「次」

 という事務的な男の声。



「?」

 同時にナルトとサクラの視線を追えば、

 

 次に控えていたのは、





 まだうら若い少年とも言える、罪人。

 

 名を、

 ツバメといった。



 うなだれていた首を上げ、介錯人である黒髪の中忍に、何かを訴えるように視線を向けていた。その真摯さが、覆面に顔が隠されているとはいえ、窺い知る事が出来た。



 一方のイルカは、

 少年の方に視線を真っ直ぐに向けてはいるが、その瞳に感情が宿っている事は、無い。



「……………イルカ…先生……」

 カカシの呟きが、再び湧き上がった声にかき消される。







 考えたくない答えが浮かび上がる。





 少年は、潔い態度で黙って首を差し出す。



 その頭上で、イルカは黙々と刃に掛け水を掛け、差紙で拭いを入れていた。

 白い覆面と、黒い装束の間からのぞく少年の白いうなじ。

 カカシの位置からも、それがいかにも儚く映った。



 イルカはまるで、そこに刃を振り下ろす事を難とも思っていないように、手際よく手順を薦めていく。

 イルカの動きを待って、介助人が動く。

 最後にもう一度、刃を濡らす掛水を振るい払うと、



 イルカは刀を振り上げた。





 ギリッ…

 という骨が鳴る音。

 自らの手を折らんばかりに強く握り絞められたナルトの掌。

 細かく、痙攣して震える。



先生が……

 イルカ先生が子供を殺すなんてありえない!!



「やめてよーーーーーーーーっ!!」



「っ!!」



 突然のナルトの叫びに、カカシは我に返った。

 その場にいた誰もが瞬時に声の主を振り返る。

 カカシはナルトの襟首を掴んで引き寄せた。

「あっ…!」

 咄嗟に振り返ったサスケの眼に、





「………」



 まるで遅回しで再生された映像のように、



 首が落ちていくのを見た。



「あぁ…っ………」



 のどの奥から逆流する、サクラの沈痛な声。



 それでも、

 イルカの刃が描いた弧は、無駄の無い美しい曲線を描いていた。

 名鍛冶による空をも切り裂く刃は、何の苦も無く次々と首を落とす。

 

「離せってばよーっ!もう止めさせるんだってば!」

 カカシの腕の中で、ナルトがあらん限りの力で暴れる。

 両腕を羽交い絞めにし、カカシは鋭く一喝した。

「あれは木の葉の忍びとしての任命なんだっ!」

 火影の占術による天命の決定。

 それは「絶対」を意味していた。

「イルカ先生は、人を殺しちゃいけないんだってば…」

 語尾が裏返り、涙に滲んだ声となって掻き消える。

 カカシが手を離すと、ナルトの体はそのまま地面にへたり込んだ。しりもちをつく。

「あれは、イルカ先生じゃないんだ……」

「………」

 ナルトの口から出た、サクラとまったく同じ言葉。

「イルカ先生…俺がちょっと指切っただけで大騒ぎするんだ………なのに」

 外套の裾が引き裂かれるほどに強く握り締めて、ナルトは体を震わせる。



 カカシは、次の処刑が始まろうとしている刑場に視線を向けたまま、低く応えた。



「それは身勝手というものだ」



「……え…?」

 サクラが食いつくような視線。

「イルカ先生を何だと思ってるんだ。彼は忍びだ。人を殺せば子供だって殺す」

「…………」

「お前らのは、ただの偶像の押し付けだ」

「………………」

 最も口が達者なサクラも、口を半開きにして言葉を吐きかけたまま固まる。



 理解していたはずだった。

 中忍試験を経験した時から。

 

 中忍というものがどういうものか。

 忍びというものがどういうものか。



 ただ、

 それでもやはり、あの黒髪の男は

 血に濡れてはいけないのだ……



「………ごめんなさい…」



 ごめんなさい



 何度も

 何度も



 懇願するような謝罪。





 壊れ物を優しく包み込むように、カカシはサクラの頭に手を添えた。

 そして膝元に抱き寄せる。







 穢れさせる事を決して許せない存在。



 だからこそ、



 三代目は彼を選んだのだろう。

 そう、カカシは思う。







 それは、



 死に行く者へ、せめてもの手向け……

















 紅い月は



 まだその輝きを失わない。







 この宵があけるまで……











拾・終焉







 全てが終わった時、



 イルカはまるで酒にあてられたように、裸刃をたらしたまま、虚ろな瞳で空を仰いだ。



 紅月の充月は、

 色を失いかけていた。



 それとは対照的に、刑場の地には赤々と血の跡。

 

 介助人に促され、血のついた刀を一振り。

 掛け水で清め、差紙で拭う。



 おもむろに鞘を掴むと、

 白銀の輝きを失わない刃を、

 その中に戻した。



 それと同時に、歓声にも似たざわめきが静まり返った。



 全ての遺体が片付けられ、穴が埋められ、首桶が運ばれた。



 イルカは刀を脇に抱くと、役人席にむかって一礼。

 そして、柵杭から外に出る扉の前で、再び振り返って一礼。出て一礼。



 その瞬間をもって、介錯人としての責務は、終わった。





 同時に、







 送り祭が終わる。















 刀を介助人に渡すと、イルカの足は火影の元に。

 これも儀礼的なものだ。

 鉢巻を取り、タスキを取り、手と膝をついて火影に頭を垂れる。

 足元に跪くイルカを、

 火影は笠の下から表情の無い瞳で見つめる。



 そして、

 全てを終焉に導く言葉を述べた。





「……大儀だった」



 

「………」



 イルカは、それに無言で会釈を返す。

 そして緩慢とした動作で一つずつ立ち上がると、

 深く火影に一礼。



 そして、踵を返した。



 襟と袖を返り血で濡らした黒髪の介錯人は、手に鉢巻を握り締めたまま、刑場を後にしようと歩を進めた。

 介助人が、着替えの場へイルカを誘導しようと促す。



 だが、



「っあ…」

 

 誰のものとも無い、短い声。



 一歩踏み出したはずのイルカの体が、体重を支えられずにその場で崩れ落ちた。



「危な……」

 横から咄嗟に伸びてきた、誰かの腕の中に沈みこむ。

 火影の口から、その腕の持ち主の名が呟かれた。

「カカシ……」



「……………」



 中腰で膝をつき、イルカの白装束の上半身を抱きかかえたカカシ。

 上から見下ろす火影の視線に目をあわそうとせず、ただイルカの顔を見つめていた。



 青白い、顔。



 未だ紅の色を残す月の下でも、それがはっきりと分かった。



 呼吸が浅く、脈も小さい。

 生気が、無かった。

 







「病院へ……」

 白袴の介助人が、カカシの元に駆け寄る。

 それを腕で制した。

 視線を合わせることなく、短く言い放った。

「もういい。触るな」

「……」

 イルカの肩を抱き寄せる。

 つん、と襟を濡らす血の臭いがした。



 火影は、何も言おうとはしない。

 しばしカカシの腕の中に力無く横たわるイルカに目を向け、

 溜息に似た深く長い息を吐いたのみ。



 離れたところからナルトのしゃくりあげる声を聞いたが





 でもそれを慰める声は、





 今は無かった。




<表編>



 終了
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2005.10.25.Tue/14:08
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> 昔は、ゲームやマンガの二次創作をしておりました。現在は主にオリジナルネット小説を執筆しています。 得意は「シリアス」「アクション」「サスペンス」です。

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