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  毒:サンプルP2 
第一章・起始



 火影からかかった召集命令に従ってカカシが官邸に来てみれば、そこに同じく集ったのは、上忍が総勢五人。
「A級任務を命ずる」
 との火影の厳凛な声に、カカシを含む五人の上忍の間に沈重な空気が漂った。
 だが、次に火影の口から出た任務内容に、その沈黙は打ち砕かれる事となる。
 
 任務に赴く先は、巽の国。
 木の葉から一直線に南に線を引いた先に位置する、小国だが、歴史の深い古国である。
 だが現在、この国は対立する二つの勢力によって二極に分断されていた。ほんの数年前、突然一部の一族が反乱を起こし、それが起爆剤となり内紛が広がったのだ。
 古国にありがちな、政治思想の不一致からくる内紛問題といえば単純だが、対立する二つの勢力の因縁を辿れば何千年分もの歴史をひもとく必要がある。
 第三者的に分類すると、保守派と革新派に分けられる。
唯我独尊の鎖国的思想を持つ前者、保守派の陵(みささぎ)一族の派閥。そして忍び五大国を始めとする他国との国交をすすめ、古国伝統に加え新文化を取り入れようと考える後者、椚(くぬぎ)一族を中心とする、革新の一派。
 国交問題の中心に位置する忍び五大国にとっては、後者の方が当然、好ましい。
 巽の国には、隠れ里のような忍びによる軍事力は存在しないが、豪族独自の術や武術、血継限界一族が多く存在し、そうした強い力を継承する民族達が存在する。加えて古典技術が発達しており、火薬・武器の発展も目覚しく、国の軍事力として強大な力を発揮し、国内政治にも大きな影響力を与えていた。このままこの国が、極端な保守思想の下、陵一族に統一されれば、他国にとって脅威になりかねない。
 近年から椚一族が徐々に国外の援助勢力を味方につけ、両者の勢力は互角というところ。
 だがここ一年余り、完全な膠着状態が続いていた。
 椚一族には決定的な行動に出ることが出来ない理由があったのだ。
 火影の口から、巽の歴史が淡々と語られていくごとに、そこに集まる上忍らの表情が固く、そして曇りを帯び始めていた。そして、任務内容が明確に示された。
「今回の任務は、陵一族が制圧している聖域領の奪回、そして、神器の押収だ」
「…!」
 やはり、と言うべきか、まさか、と言うべきか。
 いずれの面々も、驚動を隠しきれない。
 火影の御前という事を一瞬忘れ、皆、顔を合わせて当惑する。
 一人、前方を見据えて微動だにしないカカシでさえ、唯一露出している右目端がわずかに震えた。
 巽の国はかつて、聖政制度を古来より続けてきた。
 現在は歴史書にも記されているが、過去の大革命によりそれは廃止され、表面上は民主国家の形をとっているが、それでも聖君の末裔が代々、政権を握ってきた。
 巽の国の中心に位置する聖域領は、この国にとって宗教的に重要な意味を持つ場所の一つであり、古来より伝わる数個の神器は政治権力の象徴であり、これらを手中にしない限り、国民を統率する権利を得る事が出来ないのだ。
 椚とはいえ、聖政の専制政治に逆らうとも、宗教的精神思想にはむかう事は、巽の名を捨てる事と同じく、出来ないのである。 
「しかし、そんな戦規模の任務を我々たった五人で…?」
 他を代弁し、一人が火影に提言する。
 そうした反応を予測していた火影は、口元に笑みを浮かべて「心配するな」と肯く。
 納得の行かない様子の五人をよそに、火影は任務内容、そして作戦の詳細を淡々と説明していく。最終的に彼ら五人が完遂しなければならない事は、
「ここにある、敵方首脳陣一覧に添って、各々の首級そして金印を入手すべし」
「神器を見つけ出し、以下の場所まで届け、進呈すべし」
 と、概略して以上の三つだ。
 作戦自体は、さほど複雑ではない。
 だが、誰もこれが計画通りに進むとは思っていない。
 作戦計画書を各自手渡されても、未だに納得のいかないいぶかしげな表情を浮かべる五人に対し、火影は最後に付け加えた。
「それと、最後にお前達に渡したいものがあるんじゃ…」
「?」
 いぶかしがる五人の上忍の前で、火影は小さく肩をすくめた。上忍らの前から踵を返すと、大文机の上に置いてあった小箱を手にした。
 それを徐に、くの一に手渡す。
「任務に赴く前に、必ずこれを服用するのじゃ」
 と付け加えて。
「服用?」
 木箱を手渡されたくの一が、蓋を空けた。
 四人がその周囲に集まり、上から中を覗き込む。
 中には、黒い漆塗りの小壷。蓋がしてあり、札で封がされている。そして、四つ折りにされた紙切れが添えられていた。
「任務中も、その説明書に添って服用を続ける事。必ずだ。これは絶対に怠るでないぞ」
 何度も、火影は念を押し、その後ろで肯く。
「何の薬なのですか?」
 くの一が、火影に訊ねる。火影は煙管をくわえると、白い煙を一つ、吐きだした。
「心配するでない。木の葉のとある薬剤班が調合した薬じゃ。腕は確かじゃ」
「何のための薬なのですか…?」
 問われた質問に直接答えようとしない火影に、くの一は不満足げな苦笑を内に隠して、再び問うた。
 口から煙管を離し、火影は再び静かに笑った。
「何やら巽の方では、疫病が流行っているらしいのでな…」
「……」
 火影の言葉の意味を、カカシらは後に知る事となる。

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2006.06.17.Sat/12:06

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北野ふゆ子

Author:北野ふゆ子
> 昔は、ゲームやマンガの二次創作をしておりました。現在は主にオリジナルネット小説を執筆しています。 得意は「シリアス」「アクション」「サスペンス」です。

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