テーマ「夏の大三角」
お題「観察」「河」「逢瀬」「180」
(他「道草」「星占い」)
制限時間 1時間(15分延長)
こま切れの逢瀬
テレビ局に勤めていると、摩訶不思議な光景によく出会う。
今日もクロサキは、社食でスパゲッティーを食べている落ち武者を見た。昨日はタバコを吹かしている町娘もいた。
番組制作会社に勤めるクロサキは、ADとしてNHKに出入りしている。NHKはニュースやスポーツ中継の他、年配者受けする番組を得意としており、大河ドラマを代表とする時代劇・歴史劇制作において他局の追随を許さない。
外注制作プロダクションのスタッフにおいて、この「大河ドラマ」の制作に関われる事は一種のステータスだった。放送が終わって何年も経つのに、他番組の制作現場に自分が関わった大河ドラマのスタッフジャンパーをいつまでも着てくる人間は少なくない。
クロサキは何の幸運か、来年の一月から放送が開始される大河ドラマの新作の制作に関わる事となった。
「いいなーお前、ラッキーだよ。大河の制作に関わったって履歴書に書けると今後の再就職ん時に違うぜ?」
昼食時の局内食堂。素面なはずの同期がねちっこく絡んでくる。
「あぁ…そう、なのかな?」
別段気にする事なくクロサキは黙々と目の前の食事を片付けることに集中していた。
実のところ、クロサキは何故自分がスタッフに選ばれたのかが理解できない。裏方全般を会社で請け負う事になったのは事実だが、大抵こうした大きな仕事は年功序列順に仕事を取られていって、入社三年に満たないクロサキレベルのスタッフに回ってくる獲物などないのだ。
「あ」
テーブルに置いた携帯電話の時計が目に入った。
「ごめん、俺いくわ」
強引に残った味噌汁を掻き込んでクロサキは「えー」と名残惜しそうな同期を残して席を立つ。
今日は初めてのスタッフミーティングだ。スタッフ、出演者が一同に会し、これからの一年間を共に戦う仲間としての親睦を深めるための大事な場。どんな下っ端の雑用係でも出席が義務付けられ、遅刻は許されない。
首から提げるスタッフ証を揺らしながらクロサキはスタジオへ急いだ。
昨年まで、NHKで最も大きいスタジオは104スタジオだった。だが今年からその座は180スタジオに受け継がれる事となる。古い建設物を改築し、バレーボールの試合でもできるのではないかというほどの104スタジオの二倍以上はあると言われている。
初めて足を踏み入れる新スタジオ。普段は感情を表出させないクロサキの頬が、若干上気している。居並ぶその他若いスタッフも同じ心情のようで、今回のドラマの総元締め役のプロデューサーの長い挨拶の最中にもみな三百六十度を落ち着きなく見渡していた。
それもメインキャストが紹介される頃には止まっていた。
なんといってもこの壮大なる作品の主役達だ。
「まず、主役の上杉鷹山役、木ノ下鴛介さん」
このドラマで何度も主役を演じた経験のある大ベテラン男優だった。民放ドラマや映画でもその姿を頻繁に目にする、「日本の俳優」の代名詞のような存在だ。
その場に現われただけで空気が変わる。空調が送り込んでくる人工的な涼気に重力が加わったような。スタッフ達が居並ぶ列の最後尾にいるクロサキにさえ、その重みが感じられた。
「次に、鷹山の妻となる「幸姫」役、園桜子さん」
日本の男優の代名詞が木ノ下なら、園桜子は日本の女優の代名詞と言えよう。彼女が登場すると、重力が加わった空気に今度は「香り」が加わる。実際に匂いがするのではない。空気が華やぐという表現も当てはまらない、色が加わるというのでもない、やはりそれは「香り」。全身を包み込む空気が心地よく感じるのだ。
日本の高年齢層の間ではすでに「定番」となっている組み合わせで、様々な場面で夫婦や恋人役を演じてきた。
(それでもマンネリにならないのは凄いよな…)
むしろ国民はこの二人が繰り広げる恋愛物語や家族物語を望んでいる。タテマエ的に「視聴者の皆さんのご希望にお応えする」が心情のNHKでよくこのキャスティングが採用されるのは無理もない。
それらを差し引いても、この両名の演技は何ら視聴者の不満を買う事はないのだから恐れ入る。
今回の作品は180スタジオのこけら落とし的役割を担っている事もあり、局側はかなり力を入れているという。この二人を主役に据えたばかりか、その周囲を固める脇役達もそうそうたるメンバー。俳優達が紹介されるごとに、その場に居合わせたスタッフ達の気持ちが張っていくのが分かった。
こうして、顔合わせが終わった頃にはすっかり、クロサキら下っ端スタッフも含め一つの空気の中で誰もが各々に決意を固めるようになるのだ。
数日後。クランクインは180スタジオからだった。
スタジオの中は、今が現代である事を完全に忘れさせるほどに見事なセットが組まれていた。
今回の大河ドラマは「上杉鷹山」。財政難に陥っていた米沢藩を大改革によりよみがえらせる名君主の物語だ。
木ノ下が得意とする類の役だが、今回少々特殊なのは、その妻となる「幸姫」の役どころ。幸姫は幼少から体が弱く、心も体も幼いままで、穢れを知らぬまま生涯を終えるという人物だ。本来ならば若手の女優に演じさせるべき役だが、誰もこれを齢六十に手が届こうという園桜子が演じることに違和感を抱かなかった。
「よーい、スタート」
監督の第一声と共にクランクイン。
城内で幸姫が女中達といる奥の間に、鷹山が訪ねてくるシーンだ。
「……」
長いコードを巻き取る作業をしていたクロサキはふと手をとめた。気がつくと、雑用をしていたはずの若いスタッフ達も一様に手をとめて、ライトが集中する先を見つめている。
幼女のようにしか言葉を発する事のできない姫の手をとり、優しく、まるで子供に接するように話しかける鷹山。そんな些細な日常のワンシーンなのだが、誰もがそこに醸し出される空気にひきつけられていた。
鷹山は姫を壊れ物のように扱い、姫はただ「あーあー」と言葉にならない声を発して鷹山の手を握る。
そこには確かに純粋な「愛」が存在していると感じさせられた。
(さすがだな…)
これまでドラマ作品に多く関わってきたクロサキだが、ここまでの空気の転変ぶりを知らない。
初めての体験にただ、頬が知らず知らずに上気してくる。
「はい、カットです!」
監督の大声に、誰もが我にかえる。
「お疲れ様ですー」
「チェック入りますー」
スタッフ達があわただしく声を出して動き始める。
ライトの中央にいた木ノ下と園も、その瞬間に「ベテラン男優」「ベテラン女優」の事務的な顔に戻る。
「お疲れ様です」
「はい、お疲れ様」
とお互いに声をかけてセットから離れていく。
「………」
そのあまりの変わりぶりにクロサキは呆然とさえしてしまう。まだ大きな作品に慣れていない若いスタッフも同じ心情だったらしく、すぐ隣で台本の束を抱えたままの若い女性スタッフがあんぐりと口をあけたまま、両目で木ノ下と園を見ていた。
クロサキの視線に気がついて我に返ったようだ。
「あ、す、すみません」
と苦笑いが浮かぶ。
「何だか、本当に愛し合ってる二人みたいに見えちゃって…」
「さすがベテランだよな」
とクロサキは無難に応えたが、彼女はそれに満足はしなかったようで、小さく頷くだけだった。それはクロサキにも分かっていた。
恋愛の演技が上手い役者などゴマンといる。本当にその演技に引きずられて現実でも恋愛が始まり、結婚・離婚とゴシップのネタになる役者も腐るほど存在したし、これからも続くだろう。
だがこの二人の場合、何かが違っていた。
(………何だろう)
腑に落ちないまま数日後、クロサキは大河ドラマのPR番組制作のために、木ノ下と園がこれまでに共演したドラマの映像収集をさせられていた。
その数たるや半端なものではない。データセンターから試写用のテープを大量に借りて、試写ブースで片っ端から視聴する。その中から「これ」というシーンを抜き取ってディレクターに渡さねばならない。これも下っ端定番の仕事の一つだ。
一本目のテープを入れる。
これも歴史もので、戦国時代の夫婦を描いたものだった。
「…………」
資料用のテープだったため、「カット」との監督の言葉の後もしばらくスタジオの様子が映されている。
ここでもやはり、監督の「カット」の言葉と共に二人はまるで、ハサミで切られたロープのように二つに分かれていく。
それから数時間。どのテープを見ても、作品の記録を見ても、同じ光景が繰り返されていた。
怒涛の一年はまさに光陰矢のごとし。がむしゃらに働き気がつけば大河ドラマ「上杉鷹山」は大成功のうちに幕を閉じた。
「改革」というテーマと時代が合致していた事、局がこれまでになく制作費をかけたことなど、成功の要因は複数存在するが、やはり筆頭にあげられるのは木ノ下と園の組み合わせによる異色な純愛物語だった。
放送終了からしばらくしてもブームはほとぼり冷めず、様々な特集番組が組まれ、木ノ下と園も揃って幾度と出演したが、ドラマの外での二人はあまりに事務的だった。
だがそれから数年後。
妻を亡くした木ノ下と、夫を亡くした園が結婚するとの報道を、クロサキは耳にする事となる。
「あぁ…」
ようやく合点がいった。クロサキは呟く。
あれらは逢瀬だったのだと。
カメラが回っている間だけの、たった数十秒ずつのコマ切れな逢瀬。
これは想像でしかないが、クロサキは思うのだ。
プロデューサーや監督や視聴者が彼らの登場を願うのは、それを心のどこかで知っていたからじゃないのかと。
おわり
反省点ありすぎてかけません。
初めてのお題バトル参加作品。
前半に文章を詰め込みすぎて、後半が端折りすぎました。
ちなみにクロサキは、主人公の名前が思い浮かばなかったので咄嗟に先日読んだ漫画「クロサギ」の主人公の名前にしちゃいました。
大河ドラマ「上杉鷹山」なんてウソっぱちもいいところです。
「新作大河ドラマなににしよう…」とめちゃくちゃ焦る中で咄嗟に思いかびました(汗)
まぁ、自分的最大のツッコミどころはここなんですが。↓
お題が「河」で「大河ドラマ」って何よ(死)
お題「観察」「河」「逢瀬」「180」
(他「道草」「星占い」)
制限時間 1時間(15分延長)
こま切れの逢瀬
テレビ局に勤めていると、摩訶不思議な光景によく出会う。
今日もクロサキは、社食でスパゲッティーを食べている落ち武者を見た。昨日はタバコを吹かしている町娘もいた。
番組制作会社に勤めるクロサキは、ADとしてNHKに出入りしている。NHKはニュースやスポーツ中継の他、年配者受けする番組を得意としており、大河ドラマを代表とする時代劇・歴史劇制作において他局の追随を許さない。
外注制作プロダクションのスタッフにおいて、この「大河ドラマ」の制作に関われる事は一種のステータスだった。放送が終わって何年も経つのに、他番組の制作現場に自分が関わった大河ドラマのスタッフジャンパーをいつまでも着てくる人間は少なくない。
クロサキは何の幸運か、来年の一月から放送が開始される大河ドラマの新作の制作に関わる事となった。
「いいなーお前、ラッキーだよ。大河の制作に関わったって履歴書に書けると今後の再就職ん時に違うぜ?」
昼食時の局内食堂。素面なはずの同期がねちっこく絡んでくる。
「あぁ…そう、なのかな?」
別段気にする事なくクロサキは黙々と目の前の食事を片付けることに集中していた。
実のところ、クロサキは何故自分がスタッフに選ばれたのかが理解できない。裏方全般を会社で請け負う事になったのは事実だが、大抵こうした大きな仕事は年功序列順に仕事を取られていって、入社三年に満たないクロサキレベルのスタッフに回ってくる獲物などないのだ。
「あ」
テーブルに置いた携帯電話の時計が目に入った。
「ごめん、俺いくわ」
強引に残った味噌汁を掻き込んでクロサキは「えー」と名残惜しそうな同期を残して席を立つ。
今日は初めてのスタッフミーティングだ。スタッフ、出演者が一同に会し、これからの一年間を共に戦う仲間としての親睦を深めるための大事な場。どんな下っ端の雑用係でも出席が義務付けられ、遅刻は許されない。
首から提げるスタッフ証を揺らしながらクロサキはスタジオへ急いだ。
昨年まで、NHKで最も大きいスタジオは104スタジオだった。だが今年からその座は180スタジオに受け継がれる事となる。古い建設物を改築し、バレーボールの試合でもできるのではないかというほどの104スタジオの二倍以上はあると言われている。
初めて足を踏み入れる新スタジオ。普段は感情を表出させないクロサキの頬が、若干上気している。居並ぶその他若いスタッフも同じ心情のようで、今回のドラマの総元締め役のプロデューサーの長い挨拶の最中にもみな三百六十度を落ち着きなく見渡していた。
それもメインキャストが紹介される頃には止まっていた。
なんといってもこの壮大なる作品の主役達だ。
「まず、主役の上杉鷹山役、木ノ下鴛介さん」
このドラマで何度も主役を演じた経験のある大ベテラン男優だった。民放ドラマや映画でもその姿を頻繁に目にする、「日本の俳優」の代名詞のような存在だ。
その場に現われただけで空気が変わる。空調が送り込んでくる人工的な涼気に重力が加わったような。スタッフ達が居並ぶ列の最後尾にいるクロサキにさえ、その重みが感じられた。
「次に、鷹山の妻となる「幸姫」役、園桜子さん」
日本の男優の代名詞が木ノ下なら、園桜子は日本の女優の代名詞と言えよう。彼女が登場すると、重力が加わった空気に今度は「香り」が加わる。実際に匂いがするのではない。空気が華やぐという表現も当てはまらない、色が加わるというのでもない、やはりそれは「香り」。全身を包み込む空気が心地よく感じるのだ。
日本の高年齢層の間ではすでに「定番」となっている組み合わせで、様々な場面で夫婦や恋人役を演じてきた。
(それでもマンネリにならないのは凄いよな…)
むしろ国民はこの二人が繰り広げる恋愛物語や家族物語を望んでいる。タテマエ的に「視聴者の皆さんのご希望にお応えする」が心情のNHKでよくこのキャスティングが採用されるのは無理もない。
それらを差し引いても、この両名の演技は何ら視聴者の不満を買う事はないのだから恐れ入る。
今回の作品は180スタジオのこけら落とし的役割を担っている事もあり、局側はかなり力を入れているという。この二人を主役に据えたばかりか、その周囲を固める脇役達もそうそうたるメンバー。俳優達が紹介されるごとに、その場に居合わせたスタッフ達の気持ちが張っていくのが分かった。
こうして、顔合わせが終わった頃にはすっかり、クロサキら下っ端スタッフも含め一つの空気の中で誰もが各々に決意を固めるようになるのだ。
数日後。クランクインは180スタジオからだった。
スタジオの中は、今が現代である事を完全に忘れさせるほどに見事なセットが組まれていた。
今回の大河ドラマは「上杉鷹山」。財政難に陥っていた米沢藩を大改革によりよみがえらせる名君主の物語だ。
木ノ下が得意とする類の役だが、今回少々特殊なのは、その妻となる「幸姫」の役どころ。幸姫は幼少から体が弱く、心も体も幼いままで、穢れを知らぬまま生涯を終えるという人物だ。本来ならば若手の女優に演じさせるべき役だが、誰もこれを齢六十に手が届こうという園桜子が演じることに違和感を抱かなかった。
「よーい、スタート」
監督の第一声と共にクランクイン。
城内で幸姫が女中達といる奥の間に、鷹山が訪ねてくるシーンだ。
「……」
長いコードを巻き取る作業をしていたクロサキはふと手をとめた。気がつくと、雑用をしていたはずの若いスタッフ達も一様に手をとめて、ライトが集中する先を見つめている。
幼女のようにしか言葉を発する事のできない姫の手をとり、優しく、まるで子供に接するように話しかける鷹山。そんな些細な日常のワンシーンなのだが、誰もがそこに醸し出される空気にひきつけられていた。
鷹山は姫を壊れ物のように扱い、姫はただ「あーあー」と言葉にならない声を発して鷹山の手を握る。
そこには確かに純粋な「愛」が存在していると感じさせられた。
(さすがだな…)
これまでドラマ作品に多く関わってきたクロサキだが、ここまでの空気の転変ぶりを知らない。
初めての体験にただ、頬が知らず知らずに上気してくる。
「はい、カットです!」
監督の大声に、誰もが我にかえる。
「お疲れ様ですー」
「チェック入りますー」
スタッフ達があわただしく声を出して動き始める。
ライトの中央にいた木ノ下と園も、その瞬間に「ベテラン男優」「ベテラン女優」の事務的な顔に戻る。
「お疲れ様です」
「はい、お疲れ様」
とお互いに声をかけてセットから離れていく。
「………」
そのあまりの変わりぶりにクロサキは呆然とさえしてしまう。まだ大きな作品に慣れていない若いスタッフも同じ心情だったらしく、すぐ隣で台本の束を抱えたままの若い女性スタッフがあんぐりと口をあけたまま、両目で木ノ下と園を見ていた。
クロサキの視線に気がついて我に返ったようだ。
「あ、す、すみません」
と苦笑いが浮かぶ。
「何だか、本当に愛し合ってる二人みたいに見えちゃって…」
「さすがベテランだよな」
とクロサキは無難に応えたが、彼女はそれに満足はしなかったようで、小さく頷くだけだった。それはクロサキにも分かっていた。
恋愛の演技が上手い役者などゴマンといる。本当にその演技に引きずられて現実でも恋愛が始まり、結婚・離婚とゴシップのネタになる役者も腐るほど存在したし、これからも続くだろう。
だがこの二人の場合、何かが違っていた。
(………何だろう)
腑に落ちないまま数日後、クロサキは大河ドラマのPR番組制作のために、木ノ下と園がこれまでに共演したドラマの映像収集をさせられていた。
その数たるや半端なものではない。データセンターから試写用のテープを大量に借りて、試写ブースで片っ端から視聴する。その中から「これ」というシーンを抜き取ってディレクターに渡さねばならない。これも下っ端定番の仕事の一つだ。
一本目のテープを入れる。
これも歴史もので、戦国時代の夫婦を描いたものだった。
「…………」
資料用のテープだったため、「カット」との監督の言葉の後もしばらくスタジオの様子が映されている。
ここでもやはり、監督の「カット」の言葉と共に二人はまるで、ハサミで切られたロープのように二つに分かれていく。
それから数時間。どのテープを見ても、作品の記録を見ても、同じ光景が繰り返されていた。
怒涛の一年はまさに光陰矢のごとし。がむしゃらに働き気がつけば大河ドラマ「上杉鷹山」は大成功のうちに幕を閉じた。
「改革」というテーマと時代が合致していた事、局がこれまでになく制作費をかけたことなど、成功の要因は複数存在するが、やはり筆頭にあげられるのは木ノ下と園の組み合わせによる異色な純愛物語だった。
放送終了からしばらくしてもブームはほとぼり冷めず、様々な特集番組が組まれ、木ノ下と園も揃って幾度と出演したが、ドラマの外での二人はあまりに事務的だった。
だがそれから数年後。
妻を亡くした木ノ下と、夫を亡くした園が結婚するとの報道を、クロサキは耳にする事となる。
「あぁ…」
ようやく合点がいった。クロサキは呟く。
あれらは逢瀬だったのだと。
カメラが回っている間だけの、たった数十秒ずつのコマ切れな逢瀬。
これは想像でしかないが、クロサキは思うのだ。
プロデューサーや監督や視聴者が彼らの登場を願うのは、それを心のどこかで知っていたからじゃないのかと。
おわり
反省点ありすぎてかけません。
初めてのお題バトル参加作品。
前半に文章を詰め込みすぎて、後半が端折りすぎました。
ちなみにクロサキは、主人公の名前が思い浮かばなかったので咄嗟に先日読んだ漫画「クロサギ」の主人公の名前にしちゃいました。
大河ドラマ「上杉鷹山」なんてウソっぱちもいいところです。
「新作大河ドラマなににしよう…」とめちゃくちゃ焦る中で咄嗟に思いかびました(汗)
まぁ、自分的最大のツッコミどころはここなんですが。↓
お題が「河」で「大河ドラマ」って何よ(死)
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2006.05.20.Sat/23:36