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  森の学舎 


森の学舎
 

 「うわーい!」

 「こらーーっ!」

 初めての屋外演習。子供達は演習場所の森にたどり着くなり、興奮気味にはしゃぎだした。

 教師育成所の教育実習生、イルカが整列の号令をかけても、誰一人として言うことをきかない。

 他の教育実習生が受け持つ班の子供達は、すでに規則正しく整列ができていた。

 放牧場の子羊のごとく、子供達はわらわらと、好き勝手に駆け回る。

 その後を、汗をかきながらイルカが追う。

 その様子を眺めながら、教官は溜息。そして同僚達は苦笑。

 「またナメられてるぜ・・・イルカの奴」

 「だらしねーなー・・・」

 はしゃぎ回る子供達の中には、ケンカを始める者まで現れる。

 イルカが担当する班の中で、特にやんちゃで仲が悪い、こだまとヒイラギだった。

 つかみ合い、とっくみあいのケンカを取り囲み、子供達はなおもはしゃぐ。

 ケンカする二人の首根っこを掴み、イルカが両脇にその他の子供達を抱えてようやく、整列させる事が出来た。

 「・・・・・十六分二十五秒。遅すぎるぞイルカ」

 眉間にしわを寄せて、教官がボードに記録する。

 「す、すみません・・・・」

 冷や汗をかくイルカの背後で、子供達はまだおしゃべりを止めない。

 「いい加減に静かにせんか!」

 教官が一喝。

 「・・・・・」

 一瞬で、子供達は静かになった。イルカは今日も、自分の力で子供達を鎮められなかった。

 また、教官の助勢を得たことになる。これは大きな減点対象だ。

 「はぁ・・・・」

 イルカは、大きく溜息をついた。

 

 「怒り方が足りないんだよ、君は」

 「甘やかしてる」

 森の中で、一通りの実戦訓練をした後、持参していた弁当を広げて一同は昼休みをとる。

 子供達は班ごとにまとまり、イルカを含む教育実習生達も、彼らだけで円を作って昼食をとっている。

 話題はたいてい、イルカの事だ。

 「そうだよ、家じゃさんざん甘やかされてるんだから、学校で厳しくしとかないと、忍の世界でやっていけなくなるぜ」

 「・・・・・」

 イルカは彼らの言葉にただ、苦笑して頷く。

 -家じゃさんざん甘やかされてるんだから

 だがイルカには、それが分からない。

 彼には、甘やかしてくれる親がいなかったから。

 「お~い!イルカセンセー!」

 背後で、子供が呼ぶ声がした。

 振り向くと、イルカが担当する班とは別のグループの子供達が、手を振っている。

 「こっちおいでよー!」

 きゃきゃきゃっ と女の子達が肩を揺らして笑う声。

 イルカは弁当をその場に置くと、立ち上がろうと腰を浮かせた。

 「ほら、そこですぐに言いなりになるから、ナメられるんだぜ?」

 同僚の一人が止める。だがイルカは「でも、せっかく呼んでくれてるんだし」と微笑むと、生徒達の元に歩いていった。

 それを見送りながら、同僚達は肩をすくめて溜息。

 そして、女の子達に手作りの卵焼きやらデザートをおすそわけして貰っているイルカの姿に、また、溜息。

 「オイシー?イルカせんせー」

 「ホントー!?」

 きゃきゃきゃっ と、また女の子達の笑い声が響いた。

 

 午後の演習。

 「かくれんぼと鬼ごっこだ」

 と真顔で言う教官の言葉に、子供達の間から笑い声が上がる。

 「ただのかくれんぼではないぞ」

 ぎろりと視線で子供達を一睨すると、教官は低い声で言う。子供達に緊張感を与える為だ。

 「気配を上手く消す練習だ。鬼は各班の先生達。気配を見つけ次第、捕まえに行く。

 だが、フツウのかくれんぼと違う所は、見つかっても捕まらなければ、また逃げて、気配を消して隠れる事が出来る、という所だ。

 最後まで残ったモノには、褒美を出そう」

 そこで歓声があがる。

 だが、あいかわらずこだまとヒイラギはお互いにガンを飛ばし合って牽制している。

 どちらが最後まで残るか、内心ライバル心を燃えたぎらせているに違いない。

 「ただし!」

 浮き足立つ子供達の声を、再び教官の厳しい声が一蹴する。

 「北の方向には行くでないぞ。森が険しくなって危険だからな」

 そう教官は念を押した。

 「じゃあ、始めよう。スタート!」

 かけ声と共に、生徒達は一斉に各々の方向に飛びずさっていった。

 十秒間、鬼である教育実習生達は待たなければならない。

 「九、十・・・」

 受け持ちの生徒を捜しに、イルカを含む実習生が、それぞれ動き出した。

 

 茂みに身を隠しながら、ヒイラギは思った。

 「・・・・あのイルカ先生とかいうボケ教育実習生なんかに見つかるかっての・・・」

 いつも顔に笑顔を絶やさず、その親しみやすさに女子生徒達には人気がある。

 だが、言い換えればそんなのはただの甘ちゃんだ。

 つかみ所のないふんわりとした物腰が、ヒイラギの様な陽動的性格を持ち合わせた子供にはいたく不評だった。

 ・・・・困らせてやるか・・・

 この実習には時間制限が設けられている。ある程度時間が過ぎたら、学校へ戻る為に先生は隠れた生徒達を全員見つけださなければならない。

 だけど・・・なかなか見つからない所に隠れてしまえば・・・

 イルカ先生の面目は潰れ、教育実習生として、良い点数は付かないだろう。

 そう考えると、ヒイラギはわき上がる好奇心と悪戯心が抑えられなくなった。

 「よ~し・・・・」

 ヒイラアギは、北に向けて移動を始めた。

 教官に、行ってはいけないと言われた場所へ・・・・。

 

 「後は・・・・ヒイラギ君とこだま君と、女の子が二名ほど・・・・・・」

 やっぱりな・・・

 イルカは溜息をついた。

 ほぼ全員の生徒が、制限時間が迫った時点で見つかり、集合させられていた。

 だが、

 イルカの受け持つ班の問題児、ヒイラギとこだま、そして女子若干名の姿が、無い。

 「なんだ。まだ見つからんのか?たかが生徒のかくれんぼに」

 教官がいい加減、呆れた様子でイルカの元にやってくると口元を歪めた。

 「またかよ・・・」と同僚達も同様に。

 「すみません・・・」と冷や汗混じりにイルカが何度も頭を下げる。

 教官達は腕組みをして言葉を吐く。

 「まさか、北の森の方へ行ったんじゃなかろうな・・・」

 「やりそうだな・・・特にあの二人だろ?」

 「北へ行って探してきます!」

 教官達の言葉を聞き終わらない内に、イルカは北に向かって走りだしていた。

 まさか・・と思いつつ、範疇に入れていなかった北の森。

 奥深くに進むにつれて、暗く、寒く、険しくなっていく森。

 気配を慎重に探りながら歩く。すると・・・

 「せんせー!」

 女の子の声。

 「!?」

 戻ってこない女子生徒の一人だった。

 森の奥から、服を泥で汚した女子生徒が、泣きながら姿を現した。

 イルカの姿を確認すると、駆け寄ってきてすがりつき、泣きじゃくった。

 「どうしたんだ、一体・・・他の子も一緒か?」

 中腰になってイルカが、女子生徒の肩を両手で包んで話しかける。

 「ひ・・・ヒイラギ君と、こだま君・・・」

 「やっぱり一緒か・・・どうしたんだ?」

 「は、早く、早くこっちに来て!」

 涙で顔をぐしゃぐしゃに汚しながらも、イルカの手を引っ張って懸命に走る女子生徒の様子に、イルカはただごとではない事を感じ取る。

 トンネルの様に枝が折り重なる小径を駆け抜けると、一旦森を抜けた。目の前に広がるのは、断崖。

 その縁に座り込むもう一人の女子生徒の姿があった。

 瞬間、悪寒がした。

 「まさか・・・・」

 その場でぺたんと尻餅をついてしまった女子生徒をその場に残し、イルカは断崖を上からのぞき込む。

 「!」

 「せ、先生!」

 3,4メートル下、断崖から生えている木の枝にまたがる、こだまの姿が・・・

 「こだま!ヒイラギ!」

 イルカが叫ぶ。木の枝にまたがるこだま。そしてその手にぶら下がり、半泣きのヒイラギの姿が見えたのだ。

 現れたイルカの姿に、こだまが思わず体を起こす。

 「ばか、動くな!」

 子供二人の体重にやっと耐えていた枝が、ミシリと音をたて、

 「わあああっ!」

 二人の叫び声と共に、折れた。

 「いやぁぁあああっ!」

 イルカのすぐ横で叫ぶ女子生徒。

 イルカの足は、無意識に地面を蹴っていた。

 「せんせー!」

 森の入り口に座り込む女子生徒の叫び。

 垂直に落ちていく子供二人のうち、イルカがこだまの腕をとらえた。こだまはヒイラギの手を握っている。

 空いているもう片方の手で、イルカは鈎縄を懐から取り出すと、断崖の縁にむかって投げた。

 ちょうど良い具合に鈎が縁に引っかかる。

 ビンッ・・・

 引っ張られる衝撃とともに、三人はなんとか断崖の途中で止まった。岩壁に足をつけ、イルカはまずこだまに縄を握らせた。

 そして、ヒイラギの腕を掴むと、自分の胸に引き寄せる。

 「せんせーっ!鈎がはずれるよぉ!」

 頭上で女子生徒の声。

 三人の体重に耐えられなくなった鈎が、岩肌を削って少しずつ、崩れ落ち始めた。三人体が、ガクンと揺れる。

 その度に、こだまとヒイラギは恐怖の声を上げる。

 「くっ!」

 イルカはすぐに決断した。縄を握って震えるこだまと、胸の中で同じく恐怖に震えるヒイラギに、優しく、声をかける。

 「・・・・先生を、信じてくれるか?」

 「・・・え?」

 恐怖と混乱と困惑で、二人はイルカの言葉を理解出来ないでいる。涙で濡れた顔で、イルカを見上げる。

 「絶対に、助けるから・・・・先生を、信じてくれるか?」

 教室で見せる、同じ笑顔。

 二人は、思わず頷かざるを得ない。

 「よし・・・」

 再び、三人の体が大きく傾いた。岩肌にかじり付いていた鈎が、限界を迎えたのだ。

 イルカはヒイラギに続き、こだまの体を自分に引き寄せると、

 縄を握っていた手を離し、

 渾身の力で岩壁を蹴った。

 「きゃああぁぁぁっ!」

 頭上で叫ぶ女子生徒二人の声が、一気に遠ざかる。

 生徒二人を抱きかかえたまま、遙か奈落の底に消えていく実習生の姿に、上に残された少女達が気を失わんばかりに叫んだ。

 自分の体を下にし、イルカは生徒二人をしっかり抱きしめる。

 耳元で風が凄まじい速さで通り過ぎ、耳鳴りがする。

 生徒二人は、イルカの胸に顔を押しつけ、しがみついたまま、叫び声も上げない。

 肩越しに振り向くイルカの目に、岩肌が露出した地面が近づいてくる。

 そろそろか・・・・

 イルカは、両手で顔の前に印を結んだ。目を瞑り、口の中で術の言霊を唱える。

 一文字、二文字、三文字切ったところで、目を見開く。

 ドウッ

 轟音と共に、イルカの背後に水柱が現れた。

 「わっ!」

 水遁の術の一種だ。

 凄まじい量の水が帯を成し、地面に背中を叩きつる寸前のイルカと、子供達を包み込んだ。

 そして、バシャッと弾ける音と共に水の帯は弾け散って消えた。

 イルカは子供を抱えたまま、岩肌に転がり落ちる。

 遙か頭上では、騒ぎをきいて駆けつけた教官や同僚達の姿が、微かに見える。

 助かった・・・・思わず安堵の笑みが口元にもれる。

 それも束の間、全身の痛みに、イルカは意識を放り出した。

 何かを叫ぶこだまとヒイラギの声が、遠ざかる。

 

 

 「先生、せんせー・・・」

 以前に学習した筈の応急処置の方法が、いざという時に思い浮かばない。

 水をクッションにして最悪の事態は免れたものの、子供二人を上にして背中から岩肌に直撃したイルカのダメージ量は、子供二人には判断しかねた。

 だが、両腕を広げ、両足を投げ出し、岩の上で微動だにしないその様子からは、子供達にでさえ危険な状態である事がわかる。

 多量の出血は見られないものの、耳元で名を呼んでも、頬をたたいても目を覚まさない場合は、楽観視できない状態である事が思い出される。

 だが肝心の、こういう時に何をしたらよいのか、まだアカデミーに入学したての彼らは学んでいなかったのである。

 助けを求めて上を見上げる。

 遥か上に先生たちの姿が見えるが、この高さではいくら忍とはいえ飛び降りられるものではない。

 道を迂回してくるしか、降りてくる手立てはないだろう。

 高等忍術の中には、瞬間移動をするものもあるが、そんな物を使えるのはごく一部の人間のみだ。

 「寒・・・っ」  ヒイラギが、両手で自分の肩を抱いてつぶやく。

 先ほどの水遁の術で、あたりはまるで嵐が去ったかの様にぬれていた。こだまも、そしてイルカも全身をずぶ濡れにしていた。

 「こういう時って・・・身体を冷やしちゃいけないんだよな・・・・?」

 イルカの傍に座り込み、上から様子を眺めていたこだまが、ヒイラギを振りかえる。

 「どうやって暖めるの・・・?」

 火をおこす道具もない。おこし方も知らない。火遁の術を使えるわけでもない。

 「あ・・・」

 ヒイラギが、小さく声をあげる。

 その声につられてこだまが視線を動かすと、

 「あ、血・・・」

 仰向けに倒れているイルカの背中、後頭部あたりから少しずつ流れていた血液が、いつのまにか面積を増しており、小さな水の溜まりを作っていた。

 出血量は少なくても、止血していないのだ。

 出血と水が体温をうばい、生還率を刻一刻と下げていく。

 それは、なんとなく分かってはいるのだが・・・  どうしてよいか、分からないのだ。

 イルカ以上に顔面を蒼白にし、こだまとヒイラギはガタガタと小さく震えながら、ただ呆然と流れる血液の行方を目で辿るしかなかった。

 悪ふざけをしようとした自分が悔やまれる。

 この先生を欺こうとした自分を恥じる。

 

 -先生を、信じてくれるか・・?

 -必ず助けるから

 

 先生は、自分たちを信じてくれていた。

 自分たちを信じて、命をかけて助けようとしてくれた。

 これほどまでに、  強い人だったなんて・・・。

 

 「ご、ごめんなさい・・・・先生・・・・」  

 涙があふれる。  頬を伝い、落ちる涙の粒が、血を混ざり合って消えていく。

 この人を助けなければならない。

 何かしなければならない事は分かる。

 だが、その考えへと自分の理性を冷静に切り替えようにも、彼らは幼すぎた。

 上からの助けがくる様子はない。

 冷たい渓谷風が通りすぎる。気のせいか、幾分日が落ち、陽光が弱まった。

 このまま日がくれたら・・・。

 周囲は森。

 血の匂いをかぎつけた獣が現れてもおかしくない。  

 

 ガサッ・・・

 「!!」

 背後で草が揺れた。

 

 

 

 

 「先生・・・先生」

 どうしたんだ・・・?

 「・・・イルカ先生・・・」

 そんなに、悲しそうな声を出さないで・・・

 

 「イルカ先生!」

 

 「っ・・・」

 光が飛びこむ。

 意識が急激に浮上する。目を見開くと、白い光が閃光のように網膜を刺激した。

 白濁とした視界の中から、少しずつ、複数の人影の輪郭が浮かび上がってくる。

 「・・・・・まぶしい・・・」

 イルカの呟きに、周囲がにわかに騒がしくなった。

 そこが病室だと分かるのに、そう時間はかからなかった。

 イルカが受け持つ子供たちがベッドを取り囲み、その背後から遠まきに実習生仲間と教官達。  

 「先生・・・」

 すぐ枕もとに、ヒイラギとこだまが、涙で顔をぐしゃぐしゃにしてイルカの手を握っていた。

 長い間そうしていたのか、握られた手が汗ばんでいるのが分かる。

 「二人とも・・・つ・・・」

 もっとも気に掛けていた二人の姿が目に入り、イルカは上半身を起こす。全身に走る痛みに顔をしかめ、乱れる息を整えながら、壁に背をつける。

 心配そうにその様子を見守る子供達。

 なんとか呼吸を落ち着かせると、イルカは改めてこだまとヒイラギに向かい合った。

 握られていた手を、強く握り返す。

 びくりと二人は肩を震わせて目をかたく瞑った。

 怒鳴られる・・・  そう覚悟を決めていた。

 

 だが、  

 病室が一瞬、ざわついた。

 

 「二人とも・・・・無事でよかった・・・・」

 「え?」

 やわらかい、優しい声に、二人は顔をあげて若い教育実習生の顔を見やる。

 

 顔に一文字に傷がある教育実習生は、こともあろうに二人の生徒の手を強く握り、唇を噛み、うつむき加減の瞳から涙をとめどなく流していた。

 子供達は困惑し、一緒に泣き出す子もでてきた。

 実習生仲間は唖然。教官は「やれやれ」と肩をすくめてため息。

 こだまとヒイラギはお互い顔を見合わせる。

 「へへ・・・」と奇妙な泣き笑いを漏らすと、

 「泣くなよセンセイ・・・」

 と二人同時にイルカの肩に抱きついた。

 肩に顔を埋めて、また、声をあげて泣き始めるのである。

 病室からの泣き声に、廊下を通りすぎる看護婦達が何事かと覗きに来る。

 

 窓から差し込む淡く白い光の中で、まるでそこだけ時間が止まってしまったようで・・・。

 

 

 

 

 

 「変な覆面の忍者が助けてくれたんだよ」

 「覆面?」

 

 三日後、学校に再び実習のためにアカデミーにやってきたイルカ。

 身体のいたるところに巻かれた包帯が痛々しいが、本人はすっかり回復していた。

 職員室で授業の準備をしていると、そこへ母親をともなって、ヒイラギとこだまがやってきた。

 しきりに頭をさげ、何度も礼を言う母親に、イルカはひたすら恐縮して何度も頭を下げたり、手を顔の前で振る。

 「こちらこそ、不甲斐なくて・・・。結局二人に助けられましたし・・・」

 と、テレながら言うイルカの言葉に、

 「違うよ、センセイ」とこだまが答えたのだ。そこで、覆面の忍者に話が及んだのである。

 

 「血止めとか、蘇生法とかしてくれて、あと火をおこしてくれたり・・・」

 「木の葉の忍だったのかい?」

 イルカが首をかしげる。

 「うん。センセイと同じ額当てしてた」

 「ねー」と二人は顔を見合わせる。もうすっかり仲よくなったようだった。

 その様子をほほえましく見守っていたイルカは、一方でその「覆面忍者」について考える。

 「アカデミーの中じゃあ、見たことないよなぁ・・・。その人にもお礼をいわなきゃいけないのに・・・」

 職員室から二組の親子を送り出すと、イルカは席に戻って再び、思案する。

 名前も、容貌も分からない忍。

 ましてや、自分が見たわけではない・・・。

 これは探すのが大変だ・・・。

 イルカはため息をつく。

 礼儀を損じるのが、彼には落ち着かない。 

 

 「そろそろ行こうか」  

 担当教官がイルカの名を呼ぶ。

 「はい、ただ今」

 でも、

 まあ、いいか。

 火影様にお尋ねしてみよう。

 そんな事を思いながら、イルカはプリントと名簿を小脇に抱え、立ち上がった。  

 

 授業開始の、五分前。

 

 「イルカセンセー!」  また、子供達の声が聞こえてきた。

 

 おわり
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2005.10.25.Tue/14:34
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北野ふゆ子

Author:北野ふゆ子
> 昔は、ゲームやマンガの二次創作をしておりました。現在は主にオリジナルネット小説を執筆しています。 得意は「シリアス」「アクション」「サスペンス」です。

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